このプロジェクトの背景


 2020東京オリンピック・パラリンピック開催が迫る中,日本国内では健康増進法の改正により,医療機関や教育機関,そして公的機関の禁煙化が加速することが期待されます。そのため今後,精神科における敷地内禁煙禁煙治療のニーズはさらに高まることが予想されます。
 
最近の調査では、成人の喫煙率は20%前後と徐々に減少してきており,タバコを手放そうと思い始めている人も増えているように思います。しかし、そのような中において,精神疾患患者さんの中には,禁煙が非常に困難な方がいらっしゃるのが現状です。

図1  精神疾患患者の喫煙の現状(中村正和医師提供)



このプロジェクトの目的


1.患者さんの禁煙治療を支援する専門家の育成


 このプロジェクトの一つ目の目的は,精神疾患患者さんが禁煙するメリットは非常に多く,患者さんの禁煙を支援する専門家を育成することです。
 セミナーを通して禁煙治療の基本的な知識,精神疾患患者さんに特化した禁煙治療の知識,そして面接技法について学びます。患者さんへの禁煙治療を支援する方法はいくつかあります。今回は「動機づけ面接」というコミュニケーションスタイルを提供します。

 図2 精神疾患患者が禁煙することのメリット
(中村正和医師提供)

 



2.医療機関の敷地内禁煙


 このプロジェクトの二つ目の目的は,精神科医療機関の敷地内禁煙の推進です。左図のような情報不足が精神科医療機関の禁煙治療が進まない背景にあるのではないかと考えています。そこで、このプロジェクトを通して、医療機関の禁煙化をどのように推進すべきか?その具体的な方法について提供したいと考えています。

 図3 精神科における禁煙治療が進まない理由や思い込み

                  (川合厚子医師提供)